NHKスペシャル「うつ病治療・常識が変わる」
2009.02.25 |Category …曇り
個人的には予想以上に素晴らしい内容だったと感じました。
ご覧になった方も多いのではないかと思います。
簡単にまとめると、
・抗うつ薬の多すぎる処方が逆に治療を妨げていることがある。
処方を見直すと長期間うつ病の患者でも回復するケースが多い。
・うつ病は診断が難しい。
・医師の質にかなりのばらつきがある。
(医師は開業する時には、一部を除いて基本的にはどんな科でも標榜できる。)
・心理士によるカウンセリングは日本では基本的には保険の適用外な為、
患者負担が大きい。臨床心理士も国家資格ではない。
カウンセリング自体があまり日本では普及していない。
欧米と比較すると心理療法が日本は遅れている。
(ご覧になっていない方は、
色々なサイトで詳細が紹介されていると思います。)
今までにもテレビで「うつ病」に関して取り上げられることはありましたが、
どれも大した内容ではなく、逆に誤解を招くような内容が多いと感じていましたが、
今回は予想に反して素晴らしい内容だったと思います。
ただ、
放送内容の大部分は、
薄々感じている事柄だったと思われた方も多いのではないでしょうか。
私は2度精神科へ入院して自分と似たような患者と出会ってきましたが、
自分自身の体験も含めて感じたことで、薬の処方に関して共通している点があります。
それは、
薬の種類が多い人ほど、症状が重く、辛そうに見えます。
確かに症状が酷いと薬が増えるのは当然かもしれませんが、
中には入院当初よりも薬の種類がみるみる増えて、
1~2週間のうちに驚くほど症状が悪化する患者さんもいます。
また、長期間患っている人ほど薬の種類も量も多い傾向だと感じます。
精神科の薬は最初に副作用が出やすく、効果は後から、
という話はよく聞きますが、
たくさん薬を飲んで治ったと聞いたこともありません。
また、
脳のどの部分に作用しているのかよく分かっていないのに使われているという薬も多くあり、(脳自体が解明されていませんから仕方がないのだと思いますが・・・)
こういった理由で、
私は薬嫌いになっている訳ですが。
薬が増えることで更に悪化するというケースがテレビでは説明されていました。
一般的に、うつ病 = セロトニン の分泌が少ない
ということが知られていますが、
どうもセロトニンを増やしすぎると、
「意欲」や「快の感情」などと深い関係のあるドーパミンが減少するようです。
この判断は難しいようですが、
抗うつ薬でセロトニンの分泌を促進(再取り込み阻害薬で見かけ上?を増やす)
↓
セロトニンの分泌が増えすぎるとドーパミンの分泌が減少
↓
ドーパミンの分泌量が減ると無気力傾向に陥る
↓
本来は薬の副作用によるものだが、医師がうつの症状の悪化だと勘違いする
↓
更に抗うつ薬を増量
こういった悪循環に陥るケースが多いと、テレビでは説明されていました。
良い医師に出会えると良いのですが、現実は難しいと放送内容を見て改めて感じます。
私自身、完治したとはまだ言えないかもしれませんが、
うつ治療に有効だと思えることを少し挙げてみたいと思います。
(個人的な考えが多く、不適切な表現もあるかもしれません。)
①規則正しい生活は必須
睡眠障害などで寝つきが悪い方は別として、夜遅くまでダラダラと起きていたり、パソコンを触るのは逆に目が覚めてしまって睡眠のリズムが狂うようです。
(これらが睡眠障害を引き起こす要因にもなるようですが。)
やはり早寝早起きが鉄則です。
療養生活では、これを一番に優先すべきことだと思います。
病人は病人らしく、です。
厳しい意見かもしれませんが、
これができないというのは、甘えだと思います。
うつの症状は甘えではないですが、だらだらと生活リズムを乱すまでゲームやネットをしているのは甘えです。規則正しい生活すら全くしないで療養生活とは呼べません。
②うつ病初期の段階ではとにかくゆっくり休む
とにかくゆっくり休むことは誰でもやっていることだと思いますが、それは初期の1~3ヶ月程度です。とにかくゆっくり休みましょう。
③初期を過ぎると少しずつ嫌でも動いていく
長くても数ヶ月休んだら、嫌でも体を動かしていくことが近道だと思います。
家の手伝い、ペットの散歩、掃除など。何でも良いと思います。
私は休んだ期間が長すぎたので回復してくるのに時間がかかったようですが、
部屋の掃除、皿洗い、犬の散歩、水泳など、非常に効果的だったと思えます。
④医師に頼り過ぎない
これは個人的な考えです。長くても数十分の診察で、患者の性格や考え方を的確に判断することは、動作や会話だけでは非常に難しいと思います。
儲け優先の医師も、同じ人間ですから多くいると考えた方が自然です。
基本的に薬を多く出せばより多く儲かることは昔から大して変わっていないようです。(例外としては、「まるめ」や「DPC」などといった制度を導入している医療機関でしょうか。ただこれも、入院中にだけ適用されて、外来は適用されないということがありますが。)
また、話がしやすいとか、こちらの話を真剣に聞いてくれるというのは重要ですが、私の経験上、医師の腕とは関係ないと思えました。実際に私が最初の頃にかかっていたクリニックでは、診察ではこちらの話を真剣に聞いてくれて精神的に落ち着くことができ、当初は信頼していたのですが、今思うと薬の出し方に疑問が残ります。抗うつ薬はいきなり複数出され、副作用で酷く苦しみました。副作用が出るとそれを抑えるための新たな薬が追加されていくので、一番酷い思いをした時期かもしれません。患者側も多少は勉強をして、適切な処方をしてもらえるように知識を身につけなければならないのかもしれません。
⑤薬に頼り過ぎない
私は薬嫌いなので薬に対しては過剰に拒否反応を示すのかもしれません。
(ただし、今もリチウムだけは服用しています。)
テレビでも放送されていましたが、
基本的に初診で抗うつ薬を三種類以上処方する医師は疑った方が良いです。ただでさえ精神科の薬は副作用が出やすく、多くの患者さんが症状とは別に副作用でも悩んでいます。重い副作用が現れた場合、どの薬が原因なのか断定できないことは素人考えでもなんとなく分かります。
また、自殺のリスクを高めてしまうという副作用も中にはあります。私もそうでしたが、ある程度の期間、抗うつ薬を服用していて消えてしまいたいと思うようになったり、死にたいと思う感情が強まったときは抗うつ薬を疑った方が良いと思います。この辺りは薬の矛盾を感じますが。
更に、抗うつ薬の種類を増やすことが治療に有効だというデータも無いそうです。テレビでも放送されていましたが、一種類ずつ試していくというやり方が良心的なのかもしれません。
⑥ネットやゲームは控える
日本では病名としてはまだ認められていないそうですが、ネット依存症という言葉も有名です。ネットやゲームで症状が良くなったと聞いたこともありません。
療養生活をしているとどうしてもなんとなくネットを見てしまいますが、
意識的にやめた方が良いと私は思います。
使い方によっては豊富な情報が得られて非常に便利なものですが、
心を病んでいる状態では適切に使うことはできないと私は実感しました。
子供のようですが、
ある程度回復するまではゲームやネットは極力避けたほうが良いと思います。
誹謗中傷の多い匿名掲示板や匿名チャットなどの利用は論外だと思います。
それらに固執するくらいなら、腕立て伏せや腹筋など軽い運動をしていた方がよっぽど健康的です。
⑦じゃあ、何をするのが効果的か?
人それぞれだと思いますが、私の場合は療養生活の途中から「マインドフルネス心理療法」というものに出会い、呼吸法や運動などを行ってきたのですが、非常に有効だと感じています。
テレビでも説明されていた認知行動療法のカウンセリングも受けていましたが、私にはあまり合わなかったようです。
心理療法は種類が多くあります。人によって合う合わないがあると思いますので、自分に合ったものに出会って回復に向けて一生懸命になれば良いと思います。薬だけに頼る治療は、テレビでも説明されていましたが再発のリスクが高いというデータがあります。
⑧活動的に動く
様々な方の話や私自身の体験から、「全く動けない」状態から脱出する突破口のようなものがあると感じます。休養することでいつかは回復するのですが、いつ訪れるとも分からないことを待っているのではなくて、誰でも早く気分的に爽快になりたいものです。
病気が治る速度には個人差が当然ありますが、
回復していく人と、いつまで経っても動けないほど症状が重く、なかなか回復していかない人がいます。
動けるようになった人に共通していると感じた点は、最初は気が重くて動けなくても、勇気を出してとにかく動くということを努力して継続しているという点です。「嫌でも、とにかく動く。」 これを繰り返すことで嫌ではなくなってきます。
これには多少の努力が必要ですし、最初は大変です。
が、体を動かすことで脳も活発になることは医学的にも分かってきているようです。
ただし、無理をして度を超さない程度に。
⑨瞑想
私が受けている「マインドフルネス」という心理療法の中に呼吸に意識をして、通常とは異なる呼吸法を行うというものがあります。欧米では盛んに行われているそうです。
なんとなく心を無にして、落ち着くので瞑想のように感じています。
吸う息よりも吐く息を長くし、深呼吸の吐く息が長い版のような呼吸を意識的に行い、自分自身を観察します。
20分~30分行うと、不思議と随分と気分が変わり、心が落ち着きます。
これは、人間が不安を感じているときは呼吸が浅く速くなり、落ち着いている時は自然と深くゆっくりとした呼吸で、吐く息が長くなっているそうです。吐く息が長いゆっくりとした呼吸を続けていると副交感神経を優位にでき、リラックスした状態になれるようです。数週間継続しないと症状が緩和してきたという実感はありませんでしたが、薬よりは効果が大きいと感じています。
最近、呼吸法について書かれているうつ病に関する書籍も見かけます。
また、うつ病とは関係のない本ですが、脳科学者、茂木健一郎さんの書籍の中でもゆっくりとした呼吸を行いながら瞑想を行う重要性について書かれていました。幸せを感じるには毎日の瞑想が効果的(少し表現が違うかもしれませんが)、という内容だったと思います。
呼吸方法は人間にとって実は非常に重要なのかもしれません。
私がカウンセリングを受けている(教えてもらっている?)先は、ボランティアのような活動をされていらっしゃいますが、私にとっては薬よりもよっぽど効いたと感じています。心理療法に関心のある方は是非オススメします。
●Thanks Comments
無題
あぁ。。。私見てないです。。。
見たかったなぁ。。。
私も薬が多いから、薬でダルいのもあるかもしれないし。
副作用も多いんだと思います。
飲んでいると効果を発揮すると言われてもねぇ。。。
いつだ?と疑問に思ってしまう事があります。
でも主治医は信頼しているので。
今週からお薬変更をするそうなので、それに期待しています。
Re:無題
気分が優れないというだけで抗不安薬を簡単に処方されてしまいますが、
有名なデパスやセルシン、レキソタンなどは一時的に救われることはあってもそれらの薬に依存しやすくなりますし、根本的に治そうという薬ではないとよく言われます。耐性がついていって効かなくなってくるという問題もあります。患者が結局は気分の落ち込みを我慢して薬を減らしていく場合が多いような気がします。
薬は個人によって合う合わないの差が激しいようですから医師にとっても非常に難しい問題なのだと思いますが。
うまく薬の調整ができると良いですね。
無題
今 この記事を拝見して NHKーTVを見たことを思い出しました。
本当に上記書いている通りだと思いました。
内科専門でも商売原則で メンタル系でスタートしたほうが儲かる・・・
そして 初診察から5種類くらい処方する、 とんでもない話ですね。
初診で分かるはずがないです。
それから呼吸法につきましては、昔から丹田呼吸とか、禅の調息や
九大で心療内科を開設した池見教授などが昔からお勧めでした。
東洋の知恵ですね。
小生も毎晩自己流でやっております。
治療方も主治医次第で相性の問題もありますし、先生の考え方もある・
①薬だけに主体を置く
②認知主体で考え方を変えさせようとする
③バランスの取れた治療方法を常に模索されている、
合う主治医に遭遇するには宝くじ購入して当てる様なモノです。
自分で勉強して 主治医からサポートして頂く程度が一番いいですね。
最近は 有酸素運動をぼちぼちスタートしている所です。
(早速効果が体感できて うれしいです 一筋縄でいくものではないと
承知していますが・・・笑)
なお いろんなブログ拝見してきましたが やっとまともで誠実な
ご意見のページにたどり着きました。
有難うございます。
Re:無題
私と同じような考え方をされて実際に行動されている方がいると思うと本当に嬉しくなります。
有酸素運動は私もとても効果的だと思います。
無理をし過ぎると怪我をしてしまったり、
疲労感が強すぎて逆効果のこともあるようですが・・・
研究データで実証もされているので多くの人に勧めたいくらいです。
ブログで有益となる事柄を書けているかどうか分かりませんが、
同じように戦っている方の何かの参考にでもなればと思っています。
読んで頂いてありがとうございます。
無題
すごくわかりやすかったです。
私の大切に思ってる人が
うつになってしまって
私にはどういうことができるのかの前に
症状や気持ちなどがピンと来なかったので
この投稿を読ませてもらって
少しわかることができました。
ありがとうございます。
Re:無題
周囲の方は大変ですが、
自信が無い状態のことが多いですから、励ましてあげて下さい。
高齢者のうつ病について教えてください
私の母(80歳)が好きな料理をしている最中にお湯をかぶり手と足に火傷を負ったことをきっかけに好きなことができないストレスと今まで大きなけがも病気もしたことがなかった本人にとってはビックリと自分を責める気持ちが芽生えうつ病のような状況になっています。
うつ病のようなと書いたのは何がうつ病か、どこからがうつ病かとハッキリしたラインは無く、診察を受けた医師が宣告した時点でうつ病患者となるような気がするからです。
私の母は今のところその宣告を受けてはおりませんので、只一番ひどい時は目が虚ろで呼吸も非常に浅く、顔の表情が一気に老けた印象を受けました。
若いころに父が亡くなり女で一つで4人の子どもを育て、周りの人とも仲良く人一倍頑張ってきた母です。
別にもう80歳で十分長生きしたし、個人の人生としては寿命を全うした年齢です、でも人生苦労と幸せはチャラと私は思っておりますので今のままでは母の人生チャラにはなりません。
私たち兄弟、姉妹も苦労して育ちましたが50歳近くになりようやく少し親孝行ができるような年齢になってきた矢先のできごとです。
母にはもう少し幸せを味わって欲しいのです。
そんな思いで私にできることが何かないかとネットで調べているところです。
皆さんのように自分で直そうとする気力がある方、またこうして自分自身で
パソコンを使って情報入手ができ励ましあえる仲間がいることが羨ましいです。
高齢者のうつ病は本当にどう対したらよいのでしょうか。
Re:高齢者のうつ病について教えてください
一つ、注意点ですが、
うつ病は気力が無くても、
体を動かすとか、何かを初めてみるとか、行動が先にあり、
その後から元気になって(気分が浮き沈みしながら)改善するというパターンが治りやすいかと思います。
(もちろん、薬で少し元気になって行動できるようになった、という人もいるでしょうけれども、
これだと薬で治ったことになり、再発しやすくもなるようです。うつ病の再発率は高いです。)
うつ病の特徴は、ご存じのとおり、気力がなくなります。
好きなことができなくなったら、誰でもうつの状態になるでしょう。
その状態が一定期間続くと、医者にうつ病だ、うつ状態だ、と言われるのですが、
好きなことができなくなって、思い通りにいかない毎日となれば、
誰でもうつになります。
それを薬だけで治すのは難しいでしょう。
多くのうつ病患者がいますが、
改善する方に特徴的なのが、
なんとか体を動かしてみるとか、行動してみる、
といったところを努力している方が多いと感じます。
気力が出なくても、体がだるくても、
体を動かすことです。
最初は散歩だけでも良いでしょうけれども、
ただ歩くとか手足を動かすだけではなくて、
脳の活性化となるような体操や、軽い運動をおすすめします。
趣味のようなものがあれば没頭してみるのも良いでしょうね。
地域の健康体操や、フィットネスクラブなど体を動かして健康を保つようなものを考えてみられたらいかがでしょうか。
何かの集まりの体操とか、軽い運動などが少しでも楽しい・心地よいと思えば改善していきます。
私が実践してきたマインドフルネスでしたら、
呼吸法、自己洞察などもあり、患者本人が作り出している悩みから解放されやすいと思います。
お近くに活動されている団体があれば良いのですが。
私のお世話になったところでは、高齢者の方も多く集まって、独特な呼吸法・自己洞察・体操などをするのに集まっていました。
今では、ある大学で研究もされ始めています。今後もっと広まっていくことでしょう。
患者本人は気力がありませんので、本人に治りたいという強い意志が無ければ、
おそらくご自分からは行動が大変難しいでしょう。
周りの家族が、うまく話して、おだてて、何かを行動させてみることも必要です。
時間が許せば、一緒に体操の集まりに行くとか、フィットネスクラブに行くとか。
とにかく患者一人では、行動が難しいです。