薬に頼らずに
2008.09.10 |Category …曇り
過去の記事に、
私が受けているマインドフルネス心理療法というカウンセリングについて簡単にですが書いてきました。
元々は、なかなか良くならない私の状態を家族が心配し、
ネットなどで調べてくれたおかげで、出会う事ができたのですが。
心理療法の話題も交えて書きたいと思います。
薬に対して不安を抱いていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
胃腸薬や解熱鎮痛剤などとは異なり、効果が比較的分かり難かったり、副作用が最初に現れたりするため、
薬が効いているのかどうか、よく分からなくなってくる事もしばしばあると思います。
長期間服用するという前提で処方されることが多いと思いますが、
どのくらい服用すれば治るのだろうかという疑問や、
病気自体が治るのだろうかという疑問も生じ、焦りにもつながります。
私も、焦りました。
今でも焦っているのかもしれませんが、
以前よりは大分ゆとりを持って療養できていると思います。
私は、薬嫌いだと以前書きましたが正確には、大嫌いです。
実は、風邪薬(総合感冒薬)も飲みません。
風邪薬は風邪を治すものではないので嫌いです。
(本当は詳しく書きたいのですが、長くなるのでやめておきます・・・)
全ての薬が嫌いという訳ではないのですが、
あいまいなものや、ごまかしたような作用のある薬は嫌いです。
時には、そんな薬で救われる事もありますが。
うつ病の治療薬には、SNRI、SSRI、三環系、四環系などの抗うつ薬が主に使われているようです。
私も、三環系のアモキサン、トリプタノール、アナフラニール、
SSRIのルボックス、SNRIのトレドミンは服用してきました(後は忘れました・・・)。
副作用だらけでしたので合う薬はありませんでしたが、
トリプタノールだけは、気分が良くなっていた覚えがあります。
(離脱症状は酷いものでしたが・・・)
薬を長く服用していると、誰でも嫌になってくるものですが、
ある疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
本当に、薬は効くのだろうか?病気を治すのだろうか?
私は、しょっちゅう考えていました。今でも考えます。
ですが、考えても答えが見つからないことですから、
それなら、治療となる他の事に目を向けたほうが良いようです。
そんな時、ある臨床試験のデータを見る機会がありました。
アメリカのデューク大学医学部のジャームス・ブルメンサルという教授が、
うつ病と診断された50歳以上の男女156人を3つのグループに分け、
16週間にわたり治療を行い、改善効果を見るというものです(1999年)。
(A)抗うつ薬(SSRI、ゾロフト)を服用したグループ
(B)有酸素運動をしたグループ(週3回、1回30分の有酸素運動。トレッドミルやエアロバイク)
(C)抗うつ薬(SSRI、ゾロフト)と運動を併用したグループ
結果は、どのグループもうつが改善です。
薬や運動の効果は期待できるということになります。
更に、追跡調査をして、再発についても分析をしています。
16週間の治療でうつから回復した患者を、更に6ヶ月間追跡調査を行い、
結果を発表しています(2000年)。
改善効果10ヶ月維持 再発
(A) 55% 38%
(B) 90% 8%
(C) 62% 31%
※それぞれのグループで回復した患者だけを追跡調査。
(A)SSRI(ゾロフト)を服用してうつから回復した人で、
改善効果を維持できたのは55%。再発38%。
(B)有酸素運動だけでうつから回復した人で、
改善効果を維持できたのは90%。再発8%。
(C)SSRI(ゾロフト)と運動を併用してうつから回復した人で、
改善効果を維持できたのは62%。再発31%。
薬を服用して、うつから回復したグループは時間が経過すると、元のうつ状態に戻り易いという結果が出たのです。
このような結果が出たことについては、こう推測されています。
「薬を服用してうつから回復した患者は、”私は抗うつ薬を飲んで良くなった”と考えるが、
運動だけでうつから回復した患者は、”私は一生懸命にエクササイズプログラムに取り組んだ。容易ではなかったが、うつを撃退する事ができた”と考えるため、この達成感がセルフエスティームを高め、気分を向上させ、うつを改善したと理解できる。」
ちなみに、セルフエスティームという単語は、私は知らなかったので調べました・・・
自分を肯定的に認め、自分に自信を持ち、他人に思いやりを持ちながら、自分を価値あるものと誇れる気持ち。という意味合いがあるようです。
良い言葉ですね。(うつ病患者に欠けている言葉でしょうか・・・)
この試験では、薬物療法よりも運動療法の方が、再発しにくいという結果となりました。
(一つのデータですから、必ずしもこれが全て正しいとは決めつけられませんが)
私が受けているマインドフルネス心理療法は、身体運動だけでなく、社会行動、精神行動の3つを活性化する方法を多用するので、他の療法で治らない場合にも、選択できる療法だそうです。
もちろん、再発もかなり抑えられるのではないかと思っています。
この心理療法が全ての方に合うとは思いませんが、カウンセリング大国のアメリカや、ヨーロッパで盛んに行われているそうですし、少なくとも私は救われました。
うつ病は再発が問題になっているようです。
抗うつ薬が効かない方もいらっしゃるようです。
薬だけの治療では十分ではないのかもしれません。
日本は、どうしても薬物療法に目が行きがちです。
患者の家族も、薬さえ飲ませておけば大丈夫だろうと、最初は安易に考える傾向にあるようです。
少し話しがそれますが、
ほとんどの方が、薬の本当の副作用は知らずに服用します。
薬局で受ける説明も、十分ではないと私は思います。
薬剤師さんも患者の事を考えて本当のことを言わないのか、忙しくて時間が無いのか分かりませんが、紙切れ一枚を渡されるくらいです。
ネットで調べると、簡単に製薬メーカーが提供している添付文書を閲覧できるので、
説明は確かに必要ありませんが・・・
知らずに服用していて後で副作用を知ると、ちょっとしたショックを受けます。
うつで気分が沈んでいるのに、ショックを受けると更に沈むことになります。
患者自身や、家族が病気をもっと深く知ることで、
薬以上に効果のあるものを見つけられる気がします。
私がうつ病で学んだことの一つは、
「薬に頼ってはならない」ということです。
思い返すと、
以前、肝臓や腎臓などを患った母からも言われたことがあります。
「薬は補助的なもの」
言われた当初は反発していましたが、
今考えると、確かにそうかもしれません。